マドラスチェックはどこへ

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夏になると必ず着ていた心地の良い木綿の生地。洗うたびに色が褪せ、年期が入ったシャツほど玄人に好まれた。英国の支配下にあったインドの南部マドラス(現チェンナイ)に発祥したことからマドラスチェックと呼ばれ、五十年代に東部アメリカのアイビーリーガーによって広められた後、日本へ渡ってきた生地だ。

元をただせば手紡ぎと手織りによって作られていた木綿ゆえに、糸も不揃いで染めムラがあり、服地としては決して上等なモノではなかった。色褪せをして「マドラスが泣く」と言って味わったイキな価値観も、いまでは画一的に粗悪な品質とされ、いつしか失われてしまった。

しかし、蒸し暑い日本の夏には格好の生地であり、何よりも夏男が堂々と着られる数少ない派手なシャツだった。無造作に着るマドラスのボタンダウンシャツこそ、中年オヤジの青春の象徴ではなかったか。

ビートルズが来日四十周年を迎え、団塊世代のノスタルジーが旬を迎えた。そんな今日だからこそ、ビーチボーイズなど聴きながら、もう一度あの夏を感じたいと思うのだった。

絵・文 ふじたのぶお
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by foujitas | 2006-07-22 16:42 | 洒落日記  

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