袖に見る男の美学

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いま思うと、日本のメンズファッション界には不毛の時代があった。景気が良くなると誰しも華やかに装うのは、なにも日本に限ったことではない。色や柄が豊富になり、強く自己主張する洋服が巷にあふれる。楽しい気分で着こなすのは、素敵なことだ。

しかし、高価な舶来のスーツがもてはやされる中で、メディアが報じ、洋服屋が容認して、袖の長さを誤ったのである。

本来、ジャケットの袖丈は下に着用するドレスシャツよりも1センチほど短い。それはシャツのカフス(袖)で背広の袖口を保護するために考えられたドレスコードであり、カフスはだから取り替えられるように、袖とは別布で仕立てられているのである。世界のどこにあっても、それは決められたルールなのだ。

袖を正しく仕立てれば、腕を動かしたとき袖口が大きく上がる場合がある。それは脇が大きすぎる証しであり、ルーズに着用したいがために起きた弊害といえる。

ピタリと体に合わせたスーツの袖口に、きちんとシャツが見える彼の着こなしは、男のプライドをかけた美学なのだよ。

絵と文・ふじたのぶお
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by foujitas | 2006-10-21 18:16 | 洒落日記  

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