略礼服は服飾の基礎

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いかような巡り合わせか、このところ黒いスーツに身を包み、冠婚葬祭の席で過ごす機会が多い。末席にあって、参列された方々の装いを見つつ現代の礼装を思うのだった。

日本で私たちが親しんでいる礼服は、本来、夜間の正装であるテイルコート(燕尾服)と、日中の正装とされるモーニングコートが原型だった。上着の丈が短くなるなど、最終的に黒色スーツに変化したので、正しくは略礼服と呼ばれる。

モノがフォーマルなゆえ礼装には様々なルールがあり、うっかり間違えると、とてつもなく恥ずかしい目に遭うので用心しなくてはならない。

お悔やみの席に限ってみるならば、まずシングル、ダブルを問わず背割れをもたない黒の上下。パンツの裾はシングル仕立て。組み合わせるシャツは白無地のレギュラーカラー。生地はブロードクロスと呼ぶ平織りの薄いコットンが良い。タイは黒でシルク素材は欠かせない。靴下も黒。靴は飾りの少ない紐靴でやはり黒がふさわしい。

結婚式ならば最近では、ビジネス向けのスーツを華やかに着こなして出席する向きが増えた。幸いなカップルを愛でる気持ちを表すには、豊かな色彩もよい演出になるので、積極的な服選びが楽しいのだねえ。

しかし黒ずくめの出で立ちは、身を正して相手に敬意を表す意味合いを持つ。限られた服装術だからこそ、洋服の質や着こなしのセンスが浮き彫りになるのである。

絵と文・ふじたのぶお
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by foujitas | 2007-06-22 13:28 | 洒落日記  

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