ブレザーの魅力

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その人物はメタル釦が備わった濃い紺色のブレザーを着ていた。シックな色合いのシャツにタイはない。すっきりと首元を開け放ち、明るいグレイのパンツと茶色の靴が印象的だった。

先頃、ゆえあって今年の鵜飼開きに参加した。存亡が叫ばれた錦帯橋の鵜飼事業を継承する、新会社の設立記念式典が合わせて行われた会場では、著名な方が次々とマイクの前に立ち、祝辞や挨拶を述べた。いずれも企業や団体を代表する社会的責任が高い紳士。出で立ちはそつなく、誂えたであろう美しいスーツ姿に感心するのだった。

なかんずく、口ヒゲを蓄えブレザー姿で壇上へ登ったその御仁は、スマートな身のこなしと、ユーモアに溢れるトークで、如才なく会場の視線を惹きつけた。

一般的に式典の席上では、タイの着用は基礎的なマナーと考えられる。しかし来賓として招かれた特別な立場なら、これに限らない。TPOのお手本として見た一幕である。

そこでネクタイを使わない着こなしにあって、単なる夏用ジャケットではなく、紺のブレザーを選ぶところが妙味。スポーティな感覚を備えたブレザーなら、たとえノータイでも完成度の高い着こなしができるという事を、たぶん紳士は知っている。壇上ではきちんとダブル前立ての釦を留め、その所作にも気遣いが見える。育ちの良さというか、端正な立ち振る舞いに、ほとんど清々しい気分でひとときを祝って楽しんだ。

素晴らしい人々に囲まれた錦帯橋鵜飼の未来は明るいねえ。万歳。

絵と文・ふじたのぶお
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by foujitas | 2007-07-06 14:31 | 洒落日記  

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