ネクタイのえくぼ

f0227716_1435366.jpg

一層と垢抜けたダークスーツにネクタイを結び、党首対談に立った総理大臣。その政策の賛否は別にして、昨今ではメディアに露出する政治家にはスタイリストがつくという。着こなしが相手に与える印象をいかに左右するものか、彼らは洋服でさえ戦略的に利用しているのである。

英国調の白いワイドスプレット襟と、濃いワインレッドに白い水玉模様のタイは、清潔感にあふれ、端正なイメージを漂わせる。着こなしに綻びはない。

無頓着な輩も少なくない政治家にあって、胸像が映し出されたテレビの中の総理に、しかし小さなネクタイの「えくぼ」をみつけた。はて、これは自身の洒落っ気か。あるいはスタイリストの仕業なら、相当な遣い手であるにちがいない。

ネクタイの結びめに「ディンプル」とよぶ小さなシワを寄せる。本来は結び損ないと看過されても仕方ないシワは、実のところ計算された粋であり、おまけに背広のVゾーンに立体感を与える一石二鳥の服装術。古くはハリウッドきっての伊達男、フレッド・アステアなども好んだ結び方だ。

杓子定規な着こなしで堅物と悟られては損。そこでちょっと着崩した洒落で華を添え、好印象を得ようという作戦か。時節柄、いささかうがってしまう洋服屋稼業なのであるねえ。それにしても、はっは、あっぱれ。

絵と文・ふじたのぶお
[PR]

by foujitas | 2007-07-20 14:35 | 洒落日記  

<< 釣り道楽のエスパドリーユ 雨傘を持たれよ >>