おとなの定義

f0227716_17201813.jpg

秋の声を聞くようになると、ファッション情報誌には「おとなのナニガシ」という見出しが目立つ。装いにしても「大人の着こなしを楽しむ」とは考えてみれば抽象的。いったい何を指しているのだろうか。

落ち着いた雰囲気や知的な印象を与える「おとな」は、漢字で「大人」と記し、ときに「大人しい」と形容詞として用いられる。ちょっと言葉あそび。大人しいの対義語は本来「稚児しい」と書いて「ややこしい」といったそうだ。すなわち手が掛かって煩雑な幼児をみて創作されたという。現代日本語では言葉が転じて「荒々しい」を対義語にあてている。

ひるがえって男の洒落に関してはどうか。大人の意味は年齢を区切るものではなく、やはり落ち着き払って好ましい佇まいを表すもの。たとえ派手で明るい色合いの洋服でも、品格を重んじ理知的なムードを持ち合わせることが肝要。

まず良質な素材。着心地と耐久性を両立させた縫製。奇抜にすぎないデザイン。適正な価格。こうした点をていねいに吟味して選んだ洋服は、結果的に伝統的なスタイルに落ち着くものだ。一目に高価なブランド品を誇示するような着方は、必ずしも大人のすることではないのだよ。

寡黙に楽しむのも大人の着こなし。ややこしい格好なんて思われぬよう。

絵と文・ふじたのぶお
[PR]

by foujitas | 2007-09-07 17:19 | 洒落日記  

<< 先生方のノーネクタイ 礼服の点検は今がチャンス >>