ロングホーズとは何ぞや

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現代メンズファッショのルーツを遡ると中世ヨーロッパの貴族に辿りつく。背広の裾はぞろりと長く、ウェストは細くシェイプしていて、きらびやかな紋章や房飾りを提げ、腰にはサーベルを携えていた。

18世紀にもなると上着の裾は短くなり、本来は室内衣装だったジャケットは、屋外で着用されるようになった。同時にパンツの装飾品もシンプルに変化し、現在の形に近づいたのである。

それでも靴はブーツ丈が標準で、足の甲だけを覆う短靴は略式の扱いでしかなかった。たとえば馬に跨り、犬を伴って野山を駈けるフォックスハンティングは、いまに伝えられる英国皇族の社交的なライフスタイルだ。そのとき彼らが身につけたのが「ニッカー・パンツ」と呼ばれる、膝下までのパンツ。これに合わせて長い靴下とブーツを履いた。パンツの裾が軽快なアクションを妨げぬよう考案されたワケだ。

ロングホーズと名付けられた靴下は、すなわちハイソックスのような形をした、英国のカントリースタイルを象徴するアイテム。後にニッカーは現代生活から消えていったが、件の靴下だけは細々と生きながらえてきた。

それが最近の服飾雑誌に載っているとは、さて、きっと慌ただしい毎日の裏返しなのだろうねえ。かくてスローライフに願望を抱いてやまない現代人が目を付けた。誰に見せるでもなく、こっそり楽しむオヤジのロングホーズ。

絵と文・ふじたのぶお
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by foujitas | 2007-09-21 17:21 | 洒落日記  

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