地味好み

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長い間、ファッションの傾向と景気動向は比例するといわれる。高度経済成長期にはアイビーファッションが席巻し、バブル経済が伸びた時代には、イタリアもどきのカラフルなスーツを着るビジネスマンがオフィスを彩った。女性の装いも同じように、きらびやかな飾りが増え、素肌の露出に遠慮がなくなったのである。

ところが昨今のブティックや雑誌を見ると、どうも一概に比例とはいえない。若い世代を中心にタレント紛いの装いがエスカレートする一方で、堅実で大人しい洋服も美しくスポットライトを浴びている。これを経済格差の現れとみるか、飽和状態に達したファッション業界の現状をみるか、さて。

思うに、日本人には古来より「奥ゆかしさ」を愛する民族性がある。つまり生来もっているのは派手好みではなく、根底に地味好みな気性があるのではないだろうか。贅沢を悟られぬよう裏生地に趣向を凝らせた江戸っ子の着物や、「詫び寂び」という渋味を愛でる価値観は、今も昔も大勢の日本人に理解される。

ときにネクタイ。このところのタイはクラシコイタリアの流行をうけて、やけに地味な色柄の物が増えた。タイだけを見ていると、どうしようもない程に地味なのだけれども、やや派手と思えるシャツと合わせたら、意外やこれが映えるのだねえ。

景気経済は人々が創りだすもの。能動的な着こなしで世の中を引っ張るべし。

絵と文・ふじたのぶお
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by foujitas | 2007-10-12 17:24 | 洒落日記  

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