サスペンダーの妙

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季節が深まってくると、あれこれと洋服の事に考えを巡らせる。重ねて着こなす色や素材はどのようにするか。それは靴やベルトまで思いは至る秋の夜長。

現代の服飾には縁が薄くなってしまった「サスペンダー」は、和風にいうところのズボン吊りだ。いかにも野暮な名前がつけられたものだが、本来ベルトを備えなかったパンツに無くてはならぬ備品だった。

英国へ行くと「ブレイシーズ」と呼び、今でもスーツやジャケットを着用するときには、年配をとわず愛用者が多い。なぜならパンツの佇まいをとても美しく見せる機能を備えている事を、多くの英国人は知っているのである。

サイズを合わせたパンツを穿いてベルトをすると、ウェストの案配はちょうど良くなる。しかしパンツのウェストラインはヘソの辺りにあり、これを「股上が深すぎる」と感じる向きが少なくない。したがってベルトで締め付けたウェストは、動き回るうちに腰骨の位置まで下る。するとどうだ、足は短く見えてしまい、パンツの折り目も必要以上にブレイクしてしまうのだねえ。

サスペンダーはパンツを肩から吊り下げるモノ。すなわちウェストを正しく高い位置に保つので、折り目は美しく端正なスーツ姿を創り出す。決して誇負するものではないが、
ジャケットの中にチラリと見える男子専用の名脇役。

絵と文・ふじたのぶお
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by foujitas | 2007-10-19 17:25 | 洒落日記  

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