クランタータン

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ベイシティローラーズといえば思い出す向きも少なくないだろう。七〇年代後半に英国で生まれたポップスバンドだ。その青春にあふれる歌声は日本でも多くのファンを魅了した。彼らが母国の象徴として選んだのが、レコードのジャケットにも採用した派手なチェック柄だった。

タータンの起源は古く歴史の痕跡は三世紀にまで遡るという。クランとはスコットランド氏族を意味する言葉で、あの美しい格子の色とは裏腹に、その生い立ちは宿敵イングランドとの長い戦いの中で培われた。氏族が勝利して鮮やか線が加えられ、分家や独立のたびに新たなパターンが伝承されてきた。なかんずく「ブラック・ウォッチ連隊」が装った濃い紺と緑の格子はつとに有名なものだ。

日本ではアイビーファッションの流行に乗って、アメリカを経由したタータンが人気を博した。本来は格子柄そのものをタータンといったが、いつしかタータンチェックと呼ばれるようになっていた。

ファッション衣料の世界には毎年、様々な色合いのタータンがショーウィンドウを飾る。派手と思われるような色組でも、なぜかタータンだけは受け容れてしまうのは、やはり伝統に裏打ちされた民族の魂が宿っているからなのだねえ。この冬は、あえてクランタータンと呼んで、あの美しくも哀しい格子柄を楽しんでみようかな、さて。

絵・文 ふじたのぶお
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by foujitas | 2007-11-09 18:55 | 洒落日記  

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