若者たちの黒スーツ

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さて、いつ頃からこんな風景になったのだろうか。成人の門出を祝う式典に嬉々として集う若者たちのスーツは、おしなべて真っ黒。礼装として黒を選んでいるかといえば、色付きのシャツやタイを組み合わせるところを見ると、必ずしもそうではないらしい。

子どもから大人になる境目。きっと初めてスーツを着用する向きも少なくない。しかし傍らで美しい振り袖や袴を着る女性に比べると、いったい何がこの光景をつくり出したのか、と訝ってしまうのである。

彼らにとって成人式に着るスーツは、友だちや仲間の中で合意を示すためのツールであり、格差や違和感に畏れを感じるがゆえの自己防衛手段とみた。あくまでも社会人として自立し、責任や自覚を重んじて選択した洋服ではないという事だろう。

なるほど、今は良い。だが、諸君。そのままで社会に通用すると思うなかれ。一着のスーツが相手や世間に与える印象は、絶望的にシビアなものだ。それは自分自身や属する組織の利害へ結びつく重要なことであり、経験を積めば誰しも気づく。

なあに、高価なスーツを着られよとは申さぬ。TPOを知り、その場にふさわしい洋服の着こなしが、良い仕事をする土俵に上がるための条件。かかる知恵は失敗を繰り返し、躾を受けながら身につけるべし。これをもって社会勉強という。君たちの一人前になったスーツ姿に、世のオジサンは心を寄せるのだねえ。新成人おめでとう。

絵・文 ふじたのぶお
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by foujitas | 2008-01-18 17:50 | 洒落日記  

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