デューク東郷の服装

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漫画「ゴルゴ・サーティン」といえば、男性ならその名を聞いたことくらいはあるだろう。一九六八年に連載が開始され、いまなお多くのファンを持つアクション漫画の傑作。主人公が裏街道でくりひろげる活劇は、世相にまつわる題材が巧みにあてがわれ、苦難をのりこえる際の興奮と、問題を解決した妙な安堵感が楽しめる物語だ。

漫画にふれる機会は多くないのだけれども、さきごろ友人から数十冊のコミック誌を借りて読み始め、いささか睡眠不足を思うこの頃。この類の漫画で武器や戦闘機の描写が詳細なことは珍しくないが、主役である彼「デューク東郷」の服装は興味深いのである。

映画を創作するおり、出演者の洋服は物語における役どころを表現させるため、繊細な考察がなされるという。衣装や着こなしは人物の職業や素性、貧富、はては社会的な立場や感情まで描写される、重要な小道具というわけだ。劇画に分類される本書でも、それらは丁寧に描き分けられている。富豪に扮するときはダブルブレストのスーツ、リゾート地の場面ではタートルネックのインナーを着て、彼は痛快に活躍するのだねえ。

内容の論評はさておき、これらは作者さいとう・たかを氏が服飾に関して造詣が深いことを表す一面であり、物語に奥行きを与えているにちがいない。

世にロングセラーは数知れずあるが、たった一人の男が四〇年も愛された事実はあまり知らない。狙撃の腕もファッションも一流ということか。

絵・文 ふじたのぶお
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by foujitas | 2008-02-08 17:53 | 洒落日記  

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