映画にみる帽子

f0227716_17563560.jpg

豪語するほどのシネマ狂ではないのだが、世に名作といわれた映画を観るのは好きで、やはり洋服屋が目を向けるのは、俳優が着こなす衣装にほかならない。なかんずくヨーロッパの古い時代を描いた作品には、いまは使わなくなった様々な形の帽子がスクリーンに映し出されて興味深いのである。

「炎のランナー」といえば一九八一年の数々のアカデミー賞をさらった有名な映画だ。二〇世紀はじめの英国ケンブリッジ大学を舞台に、陸上競技を介した友情と感動の物語は、実話に基づいて創作されたという。本作は作品賞のほか衣裳デザイン賞も獲得した。それは当時の英国のソサエティを如実に描写した完成度の高い演出で、大学の暮らしぶりや制服など、細かく検証されていたのだった。重たい歴史を持つお国柄のこと。当時の資料は少なからず残されていたのだろうねえ。

さて、学生の彼らが頭に乗せていたのが、ボーダーハットと呼ばれる藁を成形してこしらえた帽子である。日本では明治の終わりに流行し、固められた帽子を叩くとカンカンと音がする事から「カンカン帽」と呼ばれるようになった。

英語でいうストローが藁。ストローハットの一種として扱われた帽子は、素材ゆえに夏用とされたが、映画を見るにつけ明らかにコートやセーターと共に着用している。されば冬の名残にこいつで楽しむか。あいや、これを被って歩くには勇気が先か。

絵・文 ふじたのぶお
[PR]

by foujitas | 2008-02-29 17:56 | 洒落日記  

<< メンクラといえば ダッフルコートの彼 >>