メンクラといえば

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最近、駅前を車で通ったことがあれば、ひどく往来が難儀なことはご存知だろう。その繁華街の一角は有楽通りと呼ばれ、アーケード街が盛んになるより早く、飲食店や洋品店が建ち並ぶ賑やかな筋だった。店はそんな一角にあり、すでに半世紀以上を過ごしているわけだ。

ときにアイビーブームが巻き起こっていたころ、岩国駅前はちょっと話題のスポットだった。婦人画報社によって発刊されていた雑誌「メンズクラブ」といえば、ファッションに興味をもつ当時の若者にとっては、ほとんどバイブルのようなカリスマ性をもっていた。なかんずく本書の連載企画「街のアイビーリーガーズ」は、取材スタッフが全国の町を渡り歩き、その町の一番の洒落者を撮影。全国誌であるメンクラの「街アイ」コーナーに掲載されるのである。

撮影取材の情報を耳にした彼らは、だから思い思いの出で立ちで洒落込んで、駅前を闊歩した。あたかも偶然に通りかかったかのように素知らぬ顔をして、カメラマンの前後を徘徊する。首尾良くファインダーに収まり、翌月の雑誌に載ったなら、そりゃもうベストドレッサーの勲章を得たも同然の欣喜雀躍なのだねえ。

そんな彼らがカメラの前に立ったのは、とりもなおさず有楽通り。工事を終え美しく生まれ変わった暁には、再び洒落者が似合う街になるだろうか。春はもう近い。

絵と文・ふじたのぶお
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by foujitas | 2008-03-07 16:09 | 洒落日記  

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