グレイフランネル

f0227716_16251290.jpg

定年を迎える団塊世代が、豊かな時間を費やして趣味を楽しもうとしたとき、たった三十年の間に、それらの機器は味わいや奥ゆかしさを忘れ去ったようにデジタル化されていた。そこに気づいた業界は昨今、レコードプレイヤーを復刻させ、フィルムカメラを話題にしているという。

アパレル業界でも、かつてはブレザーというとウールのフランネルで仕立てることが当たり前だったが、重たく分厚いフラノ生地は敬遠されるようになり、いつしかサクソニーフランネルと呼ぶ薄くて軽い服地にとって代わられた。

その後はブレザーといえば、ただ金属のボタンが備わった替え上着と認識されるようになり、さらに学生服に採用されるようになって、ますます洋服箪笥の奥深くへ収め込まれてしまったのだねえ。

秋になって今期の服地見本帳が店へ届けられた。さっそく扉を開いてみると、やはりサクソニーには多様な色柄があり、いまどきの主力であることが窺える。さらに捲ると、その中にあった一際軟らかい布に手が触れた。フランネルだ。

それは団塊世代を意識したものか知れぬが、なんとも懐かしい。深いミディアムグレイのフランネルで拵えたパンツは、まさに英国ウェールズの田園風景を思わせる。この秋はひとつ、グレイフランネルのパンツでワーグナーのレコードでも聴いてみるか。

絵と文・ふじたのぶお
[PR]

by foujitas | 2008-09-26 16:24 | 洒落日記  

<< CPOシャツ 洋服ブラシ >>