白い服の効用

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白色のディナージャケットを着た黒人ジャズマンの佇まいは、やたらと格好良く映えるものだ。その事を認めても、いざ自分自身が着てみようかと考えたとき、まず「白は汚れが目立つ」と心配が及ぶ。それでは暗色なら良いのかと思うと、汚れるのは同じで目立たないだけだから実に奇妙な言い訳でもある。

自宅のクローゼットを開いて見ると意外に白い洋服が多く、つい先日もオフホワイトのショールカラーが付いたニットを手に入れ、この冬をゴキゲンに過ごしているのである。同じく白いキルティングのコートを着て、真っ赤のマフラーを首に巻き付けたら、もう気分はプチ・クリスマスに至っておめでたい。

しかし、たしかに白は気遣いが必要な洋服に違いない。うっかり公衆のベンチに腰掛けたり、体を電柱にもたせかけたりすると、不測の事態に陥ってしまう場合がある。よって、平常の所作にも緊張し、背筋を伸ばして歩いているような次第。結果として紳士的な立ち振る舞いが生まれる。ショットバーでグラスを傾けても、安易に肘をついたりしないのだねえ。

今年もあと数週間となり、忘年会で盛り上がる駅前の歓楽街。洋服は人を物語るという。「汚しちゃいけん」などと懸念せず、せめて宴の席では白い服でシャキとし、笑顔でもって空前絶後の不況を吹き飛ばそうではないか。

絵と文・ふじたのぶお
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by foujitas | 2008-12-19 17:39 | 洒落日記  

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