ボタンかジップか

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ヘンリーネックと呼ぶ前立てのデザインがある。前身頃が首もとから半開きになっていて、着たり脱いだりするとき便利な仕掛けで、着用すると胸元のVゾーンの演出が楽しいもの。今時の季節なら、羊毛ニット製品に多く見られるあのスタイルだ。

胸元の分割された布を繰り返し脱着させる道具を「ファスナー」という。古くはボタンと穴を留める手段や、ドットボタンと呼ばれるバネ式ボタン。またジップと称する金属や樹脂のテープやスライダーで接合する形、果てはベルクロで「ベリベリ」と繋ぎ合わせる仕組み。衣服には、用途に応じて様々な形状のファスナーが宛われている。

とりわけ十九世紀の終わりに生まれたジップの変せんは興味深い。日本でいう「チャック」は昭和初期に巾着袋の口に備えられた事に由来する和製造語だという。一九五〇年代になって品質は飛躍的に向上し、様々な衣類へ用いられるようになった。

舶来品である日本の洋服では混在しているファスナーだけれども、米国で普及した背景から、ビンテージ服にはジップ式の品物が多く、ボタン留めの衣服が欧州のクラシカルなアイテムに多いのは、けだし当然のことなのだねえ。

さて、ヘンリーネックのセーターは、ボタンかジップか。いずれもスポーティなデザインなのだが、着こなしたときの雰囲気は異なる。アーリーアメリカンを気取る前者か、英国に思いを馳せて着る後者か、実に悩ましい。

絵・文 ふじたのぶお
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by foujitas | 2009-01-23 17:22 | 洒落日記  

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