バレンタインデーの洋服屋

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日本におけるバレンタインデーの風習は一九六〇年に有名な菓子会社が大々的な新聞広告を行い、追随する同業各社の勢いで普及したという。この日に菓子を贈る慣習は海外でもあったけれども、チョコレートに限ったことではなかった。後になって歳暮や中元と同じ感覚で「義理チョコ」が飛び交い、やがてバブル景気と共に高級チョコレートが脚光を浴び、いよいよ一段落したような昨今である。

洋服屋でも、いわゆる義理相当のギフト需要は少なくなり、代わって誕生日やクリスマスの贈り物に匹敵する品物を探して来られる方が増えている。これもバレンタインデーの栄枯盛衰になぞらえてみると頷ける。

さて、そう考えてみても、バーゲンも一段落した二月中旬の洋服屋は、正直なところ品揃えが中途半端。ユニクロのような年中の物量作戦をとらぬ限り、洋服屋には旬というものがある。そんな中にあって、季節を尺度にしないファッション小物は、こんな時期にキラリと輝きを増すのだねえ。

たとえばカフリンクス。袖口ボタンの位置へ飾る洒落たアクセサリーは、クラシカルな男の服飾品として近年、ふたたびファンが増えている。あるいは皮小物。財布や名刺ケースなどは、ブランド名に揺るがない革質と縫製で仕上げた品物が玄人に人気がある。バレンタインデーは、日頃は隠れている洋服屋の一面がよく見える日かもしれない。

絵・文 ふじたのぶお
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by foujitas | 2009-02-06 17:25 | 洒落日記  

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