ブランド観

f0227716_1838547.jpg

洋服のブランドは雑誌などで価格帯とデザイン風味、また対象年齢によって分類されることが多いが、洋服屋が思うブランド観は少し異なる。それらの生い立ちや背景を知っているゆえに、現在にいわれる表面的な位置づけ以外の印象があるのだねえ。

ニューヨーカー。洋風の名前だけれども、元は大同毛織と名乗った機織屋が立ち上げたブランド。よってスーツなどの服地を知り尽くし、最善の縫製技術でモノ造りをしている。アイビーブームだった六〇年代に生まれた古参のブランドで、おそらく国産紳士服の中では一、二を争う上質な造作。

マクレガー。一九二一年にアメリカで産声をあげ、五〇年代にカジュアル衣料として世界各地で流行。映画「理由なき反抗」でジェームス・ディーンが着用した赤色のドリズラージャケットは、後に同ブランドの象徴的なデザインとして現在でも造り続けられているもの。日本では六〇年代に日綿実業がライセンスを取得して供給を始めた。

ケンコレクション。稀代の洒落者、石津謙介氏がVANを退いた後に立ち上げた国産ブランド。名称のケンは、謙介の一文字を犬に見立ててもじったものだ。大人の洒落心を具象化したカジュアル感覚は、江戸前の粋にも相通じる実に玄人好みな仕様で、見るほど着るほどに趣が深まる。ただし取り扱う店は少ない。

かくて小さな老舗洋服屋が思うブランド観の確度たるや如何ばかりか、さて。

絵・文 ふじたのぶお
[PR]

by foujitas | 2009-03-27 18:38 | 洒落日記  

<< メタルボタン 長袖のマドラス >>