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エコロジープリント

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トラッド系ファッションに好まれるシャツ柄は格子やストライプである場合が多い。糸の段階で様々な色に染め、美しく織り上げた生地は繊細な発色と風合いが得られ、洗濯による色落ちの危険が少ない。これを「先染め生地」という。単色格子のギンガムチェック、二色格子のタッターソルズなどは、カジュアルな着こなしを楽しませてくれる伝統的な柄である。

一方で服飾の歴史を遡ると、先染めよりも古い時代から染め付け柄が施されていた。絵付けや、版を用いたプリント柄のことで、その図柄や手法は世界各地で独自に考案され、現代へ引き継がれている。地球規模で普及したプリント柄だが、いわゆるアイビーファッションとして取り沙汰された柄は、意外に少ない。

たとえば、ろうけつ染めによるインドのジャワ更紗は「バティックプリント」と呼ばれ、七十年代に流行した程度。一部には通称アロハシャツと呼ばれるハワイアンシャツが話題になったが、街なかで着用するには派手に過ぎ、専らリゾート向けとされた。

かかるメンズファッション界に近年、英国の古参プリント柄のシャツが人気を博している。「リバティ」といえば歴とした企業名だが、リバティプリントはもはや自然の野山や動物をあしらうクラシカルな柄の代名詞。時代に呼応したようなエコロジーアートともいえるシャツで、今年の初夏を楽しんでみるとするかねえ。

絵・文 ふじたのぶお

by foujitas | 2009-05-01 16:03 | 洒落日記  

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