寡黙に上質を語れ

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ちょいワルおやじが流行して数年。お父さん世代の着こなしが脚光を浴びて、ファッション業界にも新たな風が舞い込んだ。それまでにも大人向けカジュアルは存在していたが、オヤジといえばスーツが主役。カジュアルな洋服は若者向けの分類がなされていた。デパートの紳士服売り場でも、お父さんの普段着といったら途端に野暮な色や柄が並べられ、思わず肩を落としてしまう眺めでしかなかった。

しかし団塊世代が定年を迎えた頃から、洋服屋の風景が変わった。若者向けの洋服が無分別な方向へ暴走を始めたことも引き金になり、どこか懐かしいアイビー風味のカジュアルウェアが少しずつ見直されたのである。しかもそれらは質の良い品物で、ときに楽しくなるような色合いでショーウィンドウを飾った。

ある洒落者がこう話した「オレらオヤジはええモノを着にゃあいけん。つまらんモノを着とったらガキより格好悪うなる」。なるほど、腹は出て、いささか頭に白い物も目立ってきたけれど、彼らには人生経験を積んだ意地と自負心がある。派手好みにせよ、地味好みにせよ、いぶし銀のような着こなしを実践する事ができるのは、まさしくオヤジ世代の特権なのだねえ。

なあに、子どものようにブランドへ依存する必要は無い。素朴な一枚のシャツであっても、にじみ出るキャリアが寡黙に上質であることを物語るのである。

絵と文・ふじたのぶお
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by foujitas | 2009-05-08 16:04 | 洒落日記  

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