ファーストファッション

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いまアパレル業界では、原宿に「フォーエバー・トエンティワン」が開店したことが話題に上っている。先に開業した「H&M」と同じく、ハイファッション、ロープライスを謳い文句に凄まじい勢いで成長している企業ブランドである。つまり高い流行感度と安い価格が売り物で、200ドルを持って行けば上下の衣服と靴や鞄、アクセサリーまで揃うというから恐ろしい。

その流行感度は高い上に早い。店頭の品物は二週間で入れ替えることを目指し、購入する消費者も「今シーズンだけ」と割り切っている。ステーキハウスの肉ほど美味しくないことは承知の上で、お手軽で時間がかからないハンバーガーのような洋服という比喩から、ファーストファッションと呼ぶジャンルが生まれた。めまぐるしく変化する流行を手軽に楽しめるのは、今の時代は利口な過ごし方かも知れない。

一方で時を同じくして、池袋の老舗百貨店が閉店という知らせが流通界を震撼させた。

人の暮らしの根幹である「衣食住」に関わる物品が全てファースト何某に偏ってしまったら、その先に何があるのだろうか。職人と呼ばれる人々が一見すると無駄と感じられる手間や時間をかけてこしらえた物は、もう探さなければ出合えない。物に対する愛着心や、せつないまでの願望を抱いて手に入れる課程にこそ、物を理解し、本当に自分の幸いとできる堅実な生き方ではないのかねえ。

絵と文・ふじたのぶお
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by foujitas | 2009-05-15 16:05 | 洒落日記  

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