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スキッパー

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ちょいと調べてみたところ、ファッション用語にいう「スキッパー」とは、一見すると重ね着のように映る二重襟を指すとあるのだが、いつからそのように呼ばれたのか。本来、ヨットなどの小型船の舵をとる船長をスキッパーと呼び、ファッション界では船長らが好んで着用したシャツを指して「スキッパー型」といった。

身頃が綿の布で、襟はポロシャツのようなニット仕立て。あるいは反対の組み合わせで、動きやすさと佇まいを両立させた独特なシャツである。襟を備えるのは、船の代表として礼節を重んじる一つの証し。一方、運動量の多いクルーと呼ばれる船員たちは、その名の通り「クルーネック」と呼ぶ襟を持たない丸首のシャツを着用し、一所懸命に帆や綱を操る。そうしてヨットは力強く海を駆る。

男たちが体を張って漕ぎ出した海原で、潮と汗にまみれて荒波を乗りきる姿を思うと、お洒落な着こなしと言い放ってしまうのは余りにも軽率。強い責任感と、正確で早い決断力を持つ者だけに与えられる、海の男のヨロイのような洋服ではないか。

かかるスキッパーシャツは、休日の大人が着こなせる魅力的でラフなスタイル。清潔感溢れるスキッパーにショートパンツをはいて、素足のままデッキシューズに足を入れる。小さな帽子を頭に乗せ、胸にサングラスを引っ掛け、日焼けした素肌を太陽にさらせば、季節はもう夏なのだねえ。

絵と文・ふじたのぶお

by foujitas | 2009-05-22 16:05 | 洒落日記  

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