若者のファッション感

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いつも磯で竿を並べる御仁と釣りながら話した。「いまどきの若いモンは可愛そうな。何もかも完成してしもうた時代じゃ」洋服に限ったことではなく、おおよそ昨今の若者がクルマや食べ物に頓着しなくなったのは、それなりの理由があるという。

団塊世代からその子ども世代は、高度経済成長を肌身で体験してきた世代。自動車も衣服も、それまで野暮だった物が年を追う毎に洗練されていく有様を、暮らしの中で感じてきたのである。次々に実現されるクルマの高性能化や斬新なデザインが憧れを招き、豊かなアメリカを再現するアイビーファッションが若者の心を捉えて離さなかった。羨ましく思う気持ちは人を駆り立てるもの。少しでも上を目指して、時の彼らは自ら求めて行動したのである。

景気が減衰した現代。しかし物資は過剰なほど有り余り、くまなく情報は伝えおよび、あらゆる物や事は高度な完成の領域に達した。血気盛んな若者が本来は持っていたはずのハングリー精神やパイオニア精神は意味を成さなくなり、探し求めなくても手に入れられる時代になった。欲求を満たすために競い合う必要が無くなったという事だ。

一所懸命に上を向いて目覚ましい発達を遂げたにもかかわらず、理想的な社会ができたと思ったが、そこには新たなハードルが待ち受けていたのだねえ。格好良い物、強い者に憧れる動物の本能は何処へ消えてしまったのだろうか。少年よ大志を抱け。

絵と文・ふじたのぶお
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by foujitas | 2009-06-05 16:07 | 洒落日記  

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