白い靴

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学校制服には広く謳われる「白い靴」であるが、これが社会に出ると途端に縁が薄くなる。それもそのはず、学生服を制限した理不尽とも思える白い靴は、どうやら運動靴を指していて、大人が白い革靴を履く事とは目的や趣が異なる。

ダークスーツを着用すると、靴はズックではなく革靴。それも黒やこげ茶という濃い色が好まれる。色調を揃えて着こなすことは大切なマナーだから、分別のある大人は当然、そういう選択をするだろう。都市生活者にとって白い靴は、だからほとんどリゾート専用のアイテムとして見られるようになった現代。

しかし日本の洋服史を振り返ってみると、素直に欧州の文化を受け容れていた初期には、麻のスーツや帽子など、夏用の素材やアイテムは数多くあった。白い靴も当たり前に舶来し、当時の伊達男の足元を飾ったのである。今にいうビジネスマン、すなわち当時の商人や政治家たちはみな、涼感溢れる白やベージュの洋服と凝った白靴を好んだ。

繰り返される好不況を越えるごとに、なぜか白い靴は市場から姿を消した。やはり応用性に乏しく、使う機会が少ない割に、価格だけは一人前だから、無用な贅沢品と烙印を押されたようなものなのだねえ。

いま一足の白い靴が店にある。イタリア製の繊細な仕上げは素晴らしい履き心地。定額給付金は使ってしまったので、プレミアム商品券で手を打ってみるか。呵々。

絵と文・ふじたのぶお
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by foujitas | 2009-06-26 17:26 | 洒落日記  

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