男の紫色

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お坊さんの袈裟に用いられるなど、古く中国から高貴な色として伝えられた背景があるためか、日本人にとって紫色は少し特別な色なのかもしれない。

ところで、流行色というのは自然発生的に生まれるのではなく、デザイナーや心理学者、果ては経済界や産業界から偉い人が集まり、巷の情勢などを配慮しながら「今年の流行色はコレにしよう」と話し合って決められるという。洋服を拵えるアパレルメイカーは、それを一つの指針として捉え、やはり企画の中に意識される。だから景気が良いときは明るく派手な色が流行し、不況のときには大人しい色が多くなる。

半年前。メイカーの展示会が各所で催され、足繁く見てきた。今は、それら品物が続々と出荷され、店先へ並べられている時期だ。そのシーズンの話題性が高い品物ほど先に売り場へ投入するのが業界のセオリーで、ケースを開いてみると、やけに紫色を使った洋服が目に付く。いずれもやや濃い色合いで、ボルドーというよりパープルに近い。

近代のメンズファッションを振り返ってみると、紫色は男の洋服にはあまり使われる事が無かった。新鮮に感じられるせいか、遂にはテレビのアナウンサーまで紫色のアーガイルニットを着て映るなど、これがなかなかの評判を呼んでいるのである。概ね保守的に着こなす男たちが、敢えて目新しい色にチャレンジしている昨今は、何かを変えたい、変わりたい意識の現れなのかも知れないねえ。頼みましたぞ、新政権。

絵と文・ふじたのぶお
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by foujitas | 2009-10-02 18:39 | 洒落日記  

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