袖ボタンの数

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開いた衿を持つ背広は、どれも同じような格好でありながら、実は少しずつ細部が異なるもの。目立つところでは前立てのボタンの数がある。三ボタンは胸元が狭くなり、二ボタンはVゾーンが深く広がって見える。好みは別にして、この仕立てのデザインには確固たる理由が存在している。

現代の背広のデザインは昔の軍服に由来するもの。すなわち学生服に見られた詰め襟型の上着である。詰め襟を折り曲げ、胸元を開くことで背広の象徴的な「菱衿」ができあがるところからも、それは理解できる。そして上着を正面から見たとき、最もバランスが良く、機能を果たすと計算されたボタンの数は五個だ。

胸元を開いたとき、上から何番目のボタンの位置で前身頃を折り返すか。これによって三ボタンのほうが二ボタンよりVゾーンが狭くなるのである。

様々にある背広の意匠の中で、前立てとは反対に最も見過ごされているのが袖口にあるボタンの数ではないだろうか。袖ボタンは本来、前立てにあったの五個から、折り返して残ったボタンの数を差し引いた残りの数。簡単にいえば、前立てと袖のボタンを足すと五個、という目安のもとに仕立てられていたもの。だから三ボタンの背広の袖は二個。タキシードなど一ボタンの前立てなら、袖は四個が正しい。しかし、こんな洋服文化も時代と共に薄らいで行くのだろうかねえ。

絵と文・ふじたのぶお
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by foujitas | 2009-10-23 18:42 | 洒落日記  

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