メタルボタンの妙

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ネイビーブレザーの人気は根強い。夏になると綿や麻の素材が、冬にはツィードなど様々な羊毛素材のジャケットが流行をみせるが、「紺ブレ」だけは一年を通して廃ることがなく、ビジネスやカジュアルのあらゆる場で応用されている。

数多ある洋服の中で、濃紺の無地のジャケットはてらいが無く、安心感をもって着用できることも人気を博す理由の一つだろう。また、特徴的な金属製のボタンも少しスポーティな装いを演出できるので、かしこまった印象と気軽な着こなしが上手くバランスしていて、普段の暮らしにマッチしているに違いない。

注目すべきは、その「メタルボタン」だ。特段の注意を払わず使っているボタンは、よく見ると紋章のような刻印や浮き彫りが見られる。本来は所属する団体、たとえば王室や軍隊、企業、学校、クラブなどの紋章を象ったもので、それは左胸に縫いつけるエンブレムと同じであるべき物だった。それが現代では、生まれ故郷の欧州でも装飾品と捉えて着飾る慣習が広まっているという。

洋服は舶来品。海を渡って日本へ根を張り、独自の発展を遂げてきた物でもある。エンブレムをファッション化し、ボタンの柄を素敵なモチーフと捕らえ、巧みに活用してきた過去は、すでに百年以上にもなる。日本流儀による洋服の着こなしが、いまや欧米にフィードバックしているのだから、これは愉快なことではないか。

絵と文・ふじたのぶお
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by foujitas | 2009-11-07 13:54 | 洒落日記  

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