タブカラーシャツの妙

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タイやラペルの幅は、世界的な流行に倣って緩やかに変動している。派手で大袈裟な装いが格好良いと思う時代があれば、質素で渋い着こなしこそ男の美学と思う時代もある。いずれにしても幅は広くなり続けることも、狭くなり続けることもできず、大小を繰り返すしかない。

そんな中で五十年代のアメリカで流行したナロースタイルは特徴的だった。シャツやジャケットの襟は細く小さくなり、それに合わせてタイもまた細くなった。当時のジャズマンや映画俳優は競って洒落たナロースタイルを着こなし、レコードのジャケット画や銀幕で活躍したのだった。

実はナロースタイルが流行したのはアメリカに限った事ではなく、英国やイタリアなど欧州のモード界でも幾度も登場していたが、丁度、日本のメンズファッションが夜明けを迎えた時代と、アメリカの流行が重なったのである。当時の若人は少ない情報から懸命に新たなデザインの洋服を探し出し、それを模倣して成長を遂げたのだねえ。

タブカラーシャツとは、そんな時代に日本へ届けられた。小さな襟の内側へ「タブ」と呼ぶ釦留めの仕掛けが施されたシャツには、少し細いタイを結び提げる。タイの結び目の裏側で「タブ」を留めると、結び目はスッと持ち上がる。これが如何にも艶っぽい。決して今流行ではないけれど、ちょっと興味が湧いてくるドレスアップの季節。

絵と文・ふじたのぶお
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by foujitas | 2009-12-04 17:13 | 洒落日記  

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