鏡を使う

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男性に比べて女性は鏡を使う機会が多い。いにしえの時代から美に対して畏敬の念をもってきた女性は、朝な夕なにその姿を鏡に映し、髪型や装いを余念なく整えていた。それはしかし、少なくとも殿方に見られてはならぬ嗜み。社会の中で礼節を重んずる当たり前の精神である。

さて、その鏡を現代の殿方はどれほど使っているだろうか。先頃、岩国のケーブルテレビ番組に出演する用向きがあって、山手町のスタジオを訪れた。二台のカメラと撮影スタッフ、それに番組のホストであるところのヤスベエ氏が隣へ腰掛け、照明が一際明るくなった。緊張が高まった直後、「あ、ちょっと待ってください」思わず撮影が始まるのを制し、目の前に置いてある鏡の前に歩み寄ったのだった。日常生活の中では、見られている感覚は小さいが、いざテレビに映るとなると、己の知らぬところで衆目を集める。つまり、見られている事に大きな意識が働き、にわかに身嗜みに綻びは無いだろうか、と不安に包まれたのであるねえ。

男は実のところ、朝起きて顔を洗うとき以外、あまり鏡を使う習慣が無い。「見た目よりも中身じゃ」と強がってみても社交術は養われぬもの。折りあれば鏡に映した自身の姿を視ることも美学。ただし、電車内やコンビニの入り口で、所を構わず手鏡を開いて化粧直しなど言語道断なのである。

絵と文・ふじたのぶお
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by foujitas | 2010-02-19 17:22 | 洒落日記  

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