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セブンインチ・ドロップ

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ニューヨークのヤングエグゼクティブは「セブンインチ・ドロップ」を目指し、誇りにしているという。

「七インチ下がり」と和訳する言葉は、すなわち胸囲とウェストの寸法差を指すもので約十八センチとなる。百七十五センチ男性の平均的な胸回りは、おおよそ百センチだから、目指すウェストは八十二センチだ。日本の中年男性に限れば、これはかなりスタイリッシュな体型で、決して多くない。

仕事ができる男の象徴として捉える「七インチ下がり」は、単に格好が良いという理由だけではなく、もう一つのメッセージが隠されている。自身の身体の管理まできちんと成しているという自負心である。

今年四月に八つの学会から、共同して「メタボリック症候群」の基準値が公表された。ウェスト寸法が、女性で九十センチ、男性なら八十五センチを目安に、上回ると生活習慣病を発症しやすくなるという。現代人にとって「セブンインチ・ドロップ」は、健康のキーワードでもあるらしい。

絵・文 ふじたのぶお
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by foujitas | 2006-07-29 16:44 | 洒落日記  

マドラスチェックはどこへ

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夏になると必ず着ていた心地の良い木綿の生地。洗うたびに色が褪せ、年期が入ったシャツほど玄人に好まれた。英国の支配下にあったインドの南部マドラス(現チェンナイ)に発祥したことからマドラスチェックと呼ばれ、五十年代に東部アメリカのアイビーリーガーによって広められた後、日本へ渡ってきた生地だ。

元をただせば手紡ぎと手織りによって作られていた木綿ゆえに、糸も不揃いで染めムラがあり、服地としては決して上等なモノではなかった。色褪せをして「マドラスが泣く」と言って味わったイキな価値観も、いまでは画一的に粗悪な品質とされ、いつしか失われてしまった。

しかし、蒸し暑い日本の夏には格好の生地であり、何よりも夏男が堂々と着られる数少ない派手なシャツだった。無造作に着るマドラスのボタンダウンシャツこそ、中年オヤジの青春の象徴ではなかったか。

ビートルズが来日四十周年を迎え、団塊世代のノスタルジーが旬を迎えた。そんな今日だからこそ、ビーチボーイズなど聴きながら、もう一度あの夏を感じたいと思うのだった。

絵・文 ふじたのぶお
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by foujitas | 2006-07-22 16:42 | 洒落日記  

洒落者のキモは自信

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とある居酒屋で肴を楽しんでいたとき、なぜか隣り合わせたお客と意気投合。中年賛歌で、おおいに愉快なひとときを過ごしたのである。

五十年配というその方々は、一様に「いまは腹が出たからのう」と謙遜気味だったけれど、車座になって酌をする佇まいは洒落者。堂々としていて気持ちよい。

若い頃は、として始まる話しは実に興味深い。ネイビーブレザーを着てスポーツカーを乗り回し、ヘアスタイルに気遣い、「平凡パンチ」や「メンクラ」と呼んだファッション雑誌を見入って、駅前のメンズショップへ通ったという。

どんな洋服を装っても、こんな人たちは格好良い。いろいろな経験が自信の裏付けとなっているにちがいない。

職業柄、店先やメディアにあって、洋服の着こなしについて尋ねられる事が少なくなく、「似合うか、否か」と問われる。立場上、色合わせや素材の話しをするのだが、洒落者に共通するキモは、いかに自信をもって何気なく振るまえるか、ということに尽きるんだよなあ。

絵・文 ふじたのぶお
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by foujitas | 2006-07-15 16:41 | 洒落日記  

ジミハデ好み

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私事で恐縮なのだけれど、つい先日四十三歳になった。気は若いが、オジサンというか中年世代を邁進(まいしん)しているにちがいない。振り返れば、日々の暮らしの中で装う地味や派手は、年を追うごとに少しずつ変化していて、それは流行だったり好みだったり、いろいろな理由によることだ。

世代と装いの関係は、若者こそハツラツと派手に、老いればそれなりに地味な装いへ変化するものと相場は決まっていたが、近年では明らかに傾向が逆転している。

しかし、いくら中年世代が派手にするといっても、節度のない着こなしでは目立つばかりで大人の嗜みにならない。そこで「ジミハデ服」がキーワードになるのである。

上品な色合い、上質な素材、保守的なデザイン。サイケデリックで不快感を覚えるモノはよろしくない。一見すると無地のようでも、よく目を凝らせば柄がある。明るい色の組み合わせでも、全体の雰囲気を締めくくるポイントカラーを着こなす。

オジサン世代のファッションは「ジミハデ」を駆使して、子供よりも一枚上手をいくのである。

絵・文 ふじたのぶお
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by foujitas | 2006-07-08 13:42 | 洒落日記  

洒落おやじはピンク色を着る

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景気のよしあしは、世相となって流行色に反映する。バブル経済にわいた世間では、紫色のスーツがあったけれども、その後には地味なアースカラーに一変。ベージュや黒ばかりが店々のショーウィンドウを埋め尽くした。

ところが近年になって、久しくメンズファッション業界にきれいな色が戻ってきた。パステルカラーと呼ぶクリーム色や水色、オレンジ系やラベンダー系の色も美しい。

しかし明るい色を呼び戻したのは、かならずしも若者ではなかった。人生目標を探してさまよう彼らの気分は、はやりまだ地味な黒やグレーであり、ビミョーな景気回復の兆候を敏感に察知して、さっそく日々の着こなしに採り入れたのは、むしろ中年から団塊世代の大人たちだった。

淡いピンク色のボタンダウンシャツを着て、ダークグレーのスーツで装うおやじ世代は、若いころから靴を磨いて履くことを知っていた。若者と競うのではない。いつの時代でも、リーダー役として生きるための洒落感覚を兼ねそなえた、いまもバリバリの現役なのである。おやじ、万歳。

絵・文 ふじたのぶお
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by foujitas | 2006-07-01 09:28 | 洒落日記