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靴下を語ろう

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日本人の靴下の歴史は古い。足袋と呼んで草履で露出する肌をおおい隠して過ごした時代から、やがて西洋文化が舶来し、履き物が靴へ移り変わると同時に広まった。

足を包みこむ靴では汗をかくことが多いので、必然的に木綿素材が好まれるのだけれども、いつでもコットンの靴下を着用すれば良いワケではない。学生時代に馴染み深くなった木綿の白い靴下は、運動をするときに使うとてもスポーティなもの。

本来は肌着の一種として捉える洋服の世界では、目立つ色の肌着を見せるのは大変はしたない事とされる。したがってドレッシーな装いに綿の白靴下など、いうまでもなくタブーな組み合わせなのである。

一級正装の場合はシルクの靴下を着用する。スーツやジャケットで礼儀正しく着こなす折りには、パンツと同素材、同色の靴下を選ぶべし。カジュアルに過ごす一日なら、色や柄、素材を楽しんで着こなす。さりげなくTPOに応じた使い分けができてこそ本物の洒落者。たかがパンツと靴の間にチラリと見えるモノだが、おじさま方々、けっして侮ってはなりませぬぞ。

絵と文・ふじたのぶお
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by foujitas | 2006-10-28 18:17 | 洒落日記  

袖に見る男の美学

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いま思うと、日本のメンズファッション界には不毛の時代があった。景気が良くなると誰しも華やかに装うのは、なにも日本に限ったことではない。色や柄が豊富になり、強く自己主張する洋服が巷にあふれる。楽しい気分で着こなすのは、素敵なことだ。

しかし、高価な舶来のスーツがもてはやされる中で、メディアが報じ、洋服屋が容認して、袖の長さを誤ったのである。

本来、ジャケットの袖丈は下に着用するドレスシャツよりも1センチほど短い。それはシャツのカフス(袖)で背広の袖口を保護するために考えられたドレスコードであり、カフスはだから取り替えられるように、袖とは別布で仕立てられているのである。世界のどこにあっても、それは決められたルールなのだ。

袖を正しく仕立てれば、腕を動かしたとき袖口が大きく上がる場合がある。それは脇が大きすぎる証しであり、ルーズに着用したいがために起きた弊害といえる。

ピタリと体に合わせたスーツの袖口に、きちんとシャツが見える彼の着こなしは、男のプライドをかけた美学なのだよ。

絵と文・ふじたのぶお
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by foujitas | 2006-10-21 18:16 | 洒落日記  

ジャケットは格別の洋服

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上着とパンツを共布で仕立てたスーツに対して、上着だけで着ることを趣とする単独の背広を一般的にジャケットと呼ぶ。その中でメタル釦を備えるモノを特にブレザーと称して、服飾業界では区分している。

ビジネスシーンで中心的な存在であるスーツに対して、ジャケットはその昔、英国の貴族たちが狩猟や乗馬にもを着た背広をルーツに持っている。

それは屋外でハードに使うことを想定していたので、ツィードやコーデュロイなどの丈夫で暖かい服地が用いられ、色や柄も豊富だった。だからスーツよりも自由な感覚で、独特の雰囲気と着心地を楽しむことができるのである。

古今東西、男にとってジャケットは仕事用の背広とは対局にあって、オフの日を存分に味わうための象徴的な洋服なのだね。

近年、気軽にジャケットを着こなす大人が増えた。長らくジャンパーでお気楽に過ごしていたオヤジたちだったが、気持ちに小さなゆとりを感じ、各々が格別の思いを馳せた一着で楽しんでいるにちがいない。ジャケット万歳。

絵と文・ふじたのぶお
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by foujitas | 2006-10-14 18:15 | 洒落日記  

男が不精なワケ

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「せっかく買ってあげても精がでん」と奥様がぼやくことが少なくない。洋服屋でダンナ様の洒落着を見立てるのだが、どうもお気に召さぬ場合が多いらしい。そして曰く「何でもええと言いながら、こりゃいけん」と断られるのだそうだ。そう言って男は、たしかにいつも同じ洋服ばかりを好む。

そうじて男は、女性のように多種多様な洋服やアクセサリーで着飾ることが苦手である。しかしそれには、ただ不精なだけではなく、ちょっとしたワケがある。

新しい洋服で装う楽しみとは裏腹に、だれでも似合うか否かが心配になる。それまで着たことのない色や形の衣服を身につけると、自分でなくなるような気がして自信が揺らぐのだ。

いつの時にあっても堂々としておかねばならぬ自負から、オヤジたちは決まった洋服を好んで着て、威風と安堵のバランスを保っているのだよ。だから、あんまり突飛な格好を望むより、似ているけれど少し洒落た程度の洋服を勧めて、似合うはずだという自信をいたわってあげて欲しいのである。

絵と文・ふじたのぶお
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by foujitas | 2006-10-07 18:14 | 洒落日記