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スリムフィット

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近頃、洋服屋でパンツやジャケットを試着してみると、やけに窮屈に感じる事がある。同じサイズ表示の服を着ても、なんだか腹周りの余裕が少ない。女房に気取られぬよう、試着室の中で「わしゃ、太ったかのう?」と小さく口を衝いて出るのである。

オジサマ諸兄。けっして自責の念に駆られることはない。なぜなら最近の洋服は、あきらかに細身の仕立てで造られているので、同寸法でも小さく感じるのは至極当然。なにも腹ばかりのせいとは限らない。

バブル景気に沸いた当時、メンズファッションは著しくサイズが乱れた。肩幅や胴周りは大きく、袖も長い。それをイタリア風だといって誰もがダブダブのスーツを着用し、日本列島の中で互いが格好良いと認め合った。そんな経験則を持つ世代の洒落者が細身の洋服に袖を通したら、余計に小さく思えてしまうのだ。

しかし、その前を思い出してみられよ。アイビーファッションが全盛だった頃、ブレザーもボタンダウンシャツも細くスタイリッシュに仕立てられていた。はにかみつつ袖を通して、これが大人の洋服なんだ、と感慨にふけっていたはずである。

いまさら学生のような体格に戻すなんて望むべくもないけれど、さきごろメタボ検診が義務化された。バブリーなサイズに慣れてしまった体格を、この際ちょっと見直してみるかね。スリムフィット、なにくそ。

絵と文・ふじたのぶお
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by foujitas | 2008-06-27 18:24 | 洒落日記  

クールビズの行方

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一年の半ばにさしかかると毎年、梅雨が訪れる。気象学の見地では、今年に限ると珍しく中国地方の入梅が遅いというが、暮らしの中では慣習化された「衣替え」がなされ、同時に「クールビズ実施につきネクタイの着用を控えている」という旨の張り紙がオフィスの入り口などに見受けられる。

かかる告示文書の賛否論はさておき、礼節を重んじる、実に日本人的なコミュニケーション手法であり、張り紙の向こう側には「世間はそう言うが、本当にノーネクタイで大丈夫なんじゃろうか」という社会人の苦悩が見えるのである。そりゃあそうだろう。古今東西、ビジネスマンの首には、四季に欠くことなくネクタイが結ばれていたのだから。

代表者や取締役は達観できる立場にあるけれど、なかんずく中間管理職に勤しむ身分の悩みは大きい。なぜなら来客や訪問を行う実働部隊のトップである場合が多く、それは最も儀礼的な事柄に気遣いが必要な立場だから、やはりスーツとタイはきちんと着こなしておきたいと考えてしまう。しかし一方で上司がネクタイを解かない限り、大勢の部下は、企業の方針だからといって堂々とノーネクタイで過ごすには、少し気が引けてしまうのだねえ。

たかがネクタイ一本で物議を醸すクールビズもおかしいが、昨今のような燃料資源の高騰にあっては、洋服にとどまらずエネルギーの浪費について考え直さねばならんなあ。

絵と文・ふじたのぶお
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by foujitas | 2008-06-13 18:22 | 洒落日記  

着こなしの優先度

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錦川の鵜飼いが始まった。錦帯橋ほとりのホテルで今年も鵜飼い開きが行われ、伝統文化の継承と「錦帯橋鵜飼い」を愛してやまない大勢の人々が会場を埋めつくした。神事や式典が執りおこなわれた後、今年も鵜飼いを観覧する屋形船への招待があった。

川面に近い目線で見る横山地区や城山の風光明媚なことは、おとずれた誰もが感慨深く思うにちがいなく、身近に親しむことができる幸いを、やわらかい川風に吹かれつつ改めて思うのだった。

さて、かかる鵜飼い開きの日。いつも、はたと困った状況に陥る。式典に招かれて参上するには当然、ホストに対して礼を逸せぬ装いが必須。TPOを唱える洋服屋がしくじったでは沽券にかかわる。さりとて鵜飼いを観覧するにあたり、堅苦しい背広というのも切ない。せっかくの機会には開放的な気分で錦川の自然と伝統、そして美酒を存分に味わいたいからねえ。

考えた果て、己の立場をかんがみて、ベージュ色の麻ジャケットに目出度く明るいピンク縞のシャツを選んだ。敢えてタイは結ばず、あくまでもリラックス気分を尊重し、かつ失礼ない着こなしである。そうして着席していると、同じような着こなしで白いコットンジャケットを着けた人物が壇上へ登られた。ふむ、なかなかどうして県知事さん。

今年の夏も錦帯橋鵜飼いでスローライフを楽しもう。

絵と文・ふじたのぶお
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by foujitas | 2008-06-06 16:20 | 洒落日記