<   2008年 08月 ( 4 )   > この月の画像一覧

 

オリンピック

f0227716_16204867.jpg

北京五輪が終わった。感動と興奮を生んだ四年に一度の祭典は、人々の記憶に長く残され、後世へ語り継がれるにちがいない。その一方で中国の主催による開催は各方面で多くの物議を醸し、混沌とした今世紀の世相を垣間見るオリンピックだった。

さて、いまから四十四年前。日本人の記憶に鮮明な跡を残す東京オリンピックがあった。高度経済成長期にあった当時は、国民のすべてが感心をもつ一大イベントだったという。入場行進で日本選手団が着用した深紅のブレザーは、もはやシンボル化された絵のようでさえある。

時はまさに空前絶後のアイビーブーム。みゆき族が雑誌に踊り、世のメンズショップが最も輝いていた時代であり、若者のみならず誰もが選手の赤いブレザーに熱い視線を送った。

特徴的に狭い肩幅と三釦上二つ掛けの仕立て、スリーパッチの胸ポケットには日の丸と五輪のエンブレムを配し、金色のメタル釦を備えた純粋なブレザーである。これをデザインしたのが、VANヂャケットを率いた故・石津謙介氏であり、服地は、現在も名高いトラッド系ブランドを持つ老舗の服飾メイカーによって供給されたという。

まもなく秋の到来。今年はオリンピック年にちなみ、久しぶりにブレザーを楽しんでみるのも悪くないねえ。


絵と文・ふじたのぶお
[PR]

by foujitas | 2008-08-29 16:20 | 洒落日記  

夏ジャケットの使い方

f0227716_16195726.jpg

いくらお洒落に気を遣いたくても、この猛暑では音を上げてしまいそうなこの頃。Tシャツとショートパンツで一度得た爽快感が忘れられず、つい身軽な洋服で過ごしたくなるというものだ。

近くを散歩するなら、それも一考。ところが夕涼みがてら家族で食事にでも行こうとすれば、さっそく細君のチェックに引っかかる。曰く「あなた、ポケットに何が入っとるん」。左様、日頃ならジャケットに入れてある財布やケータイが行き場を失い、パンツやポロシャツのポケットへ、致し方なくねじ込んでいるというワケだ。

本来なら、気の利いたメンズポーチでも手に持てば済むことなのだけれども、男子の中には頑固な者がいて、ポーチは苦手といって憚らない門外漢も少なくない。

しかして活用できるのが、サマージャケット。柔らかいニットの場合、それは確かに不格好なほど膨らんでしまうゆえ、絶望的な暑さに見舞われる前には機嫌良く袖を通していた軽いジャケットが、ときにポーチの代用となるだねえ。

せっかく気に入って落手した夏ジャケットだ。秋の声を聞いて着づらくなる前に、もっと活用しても良いではないか。カジュアルなコットンパンツとカットソーでも、手にジャケットを携えていたら、ちょっと鯔背な夏男に見える。なに、手荷物ごときを面倒くさいと思ってはならぬが男の粋。

絵と文・ふじたのぶお
[PR]

by foujitas | 2008-08-15 16:19 | 洒落日記  

ハンカチは偉大なる小物

f0227716_16183769.jpg

「あんた、ハンカチ持ったん」幼いころ登校する直前に親から声をかけられた記憶は、いまだ耳の奥に残っている。しつけとは、こういう事を指すのか。口やかましく言われたハンカチは、思うに老若男女を問わず如何なる場所でも、身だしなみの基礎となる大切な持ち物にちがいない。

式典の会場ではプレスの効いた純白のハンカチが相応しい。人々が交わるパーティなどでは、予備のハンカチをポケットの奥へ忍ばせておき、咄嗟のとき相手に差し出す気遣いも忘れてはならない。細い綿糸を織り上げたローン素材や、同じく繊細な亜麻の素材は、ハンカチの中でも最も高貴な天然素材といえよう。

カジュアルな日常には、やはり吸水性の富む柔らかいコットン素材が良い。とりわけシャツ生地などを転用した柄物は、その日の着こなしを考え、さりげない洒落気分を楽しむ事もできる。好みのセンスを活かす絶好の小物でもある。

夏に限ってみれば、昨今人気を博しているのがタオル素材のハンカチ。フェイスタオルとして存在していた小さなパイル生地だが、寸法は畳めばポケットに収納できるほど小さくなっている。少し歩くだけでも吹き出す汗を拭うには、これが滅法便利なのだねえ。

ひとくちにハンカチと言っても、一把ひとからげにできない素材や柄がある。ただし、シワクチャのそれでは、何人たりとも格好が付きませんぞ。

絵と文・ふじたのぶお
[PR]

by foujitas | 2008-08-08 16:18 | 洒落日記  

コットン信望

f0227716_1617487.jpg

左腕の手袋による鮮やかな日焼け跡を見やって「ゴルフか」と商店街の先輩。「いいえ、こっちちですわ」竿に見立てた右手をかざして答える。なあに、毎週水曜日に欠かさない山陰の磯釣りである。

背後は岩の壁。眼前は荒海。それ以外なにも無い自然の中だ。強がってみても夏が本格化すると酷く暑い。日差しは我慢するが、フロートベストと呼ぶ発砲ウレタンが敷きこまれた多機能ベストを着用するせいで、その発汗量たるや凄まじい。

大量の汗をかくアスリートたちは、スポーツ用品メイカーらが開発した多様な新素材を身につけ、身体能力を存分に発揮させているらしい。サッカーや野球の選手が着ている、一見するとメッシュのような素材が羨ましく映る。それらの性能は「機能素材」といって、昨今ではファッション衣料にも応用されるようになった。通気性の高いスーツなど、夏を快適に格好良く過ごすための妙案ではないか。

スポーツ感覚で捉える釣り業界にも、同じようなコンセプトの衣料品がある。しかし「夏はコットン」という呪縛にも似た古風な思いが先に立ち、店先で何度も手を伸ばしてみては逡巡(しゅんじゅん)するばかり。いまだに使った経験が無いのだねえ。

しかして今週も、純綿カノコ編みのヘンリーネックシャツ。半袖丈をさらに短く縫い直した、コットン信望者の特製シャツで過ごす魚釣りの一日。

絵と文・ふじたのぶお
[PR]

by foujitas | 2008-08-01 16:17 | 洒落日記