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晩夏の半パンツ

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さきごろ催した中通り商店街の土曜夜市は「駅前でう飼!」とテーマを掲げ、予想以上の賑わいに沸いた。それから数週間が経ち、一連のイベントを締めくくる招待船「中通り子ども鵜飼船」が就航。商店街から世話係りの一員として、初めて昼鵜飼いを楽しむ機会を得たのである。夏も終わりに近づき、日射しは強くても川風は秋の気配。洋服屋であるがゆえに、さて何を着て行ったものか。

悩んだ挙げ句の果て、足を入れたのはインディアマドラスの半パンツだった。なんというか良い年をしたオヤジが半パンツで歩くのも気が引けるが、和風の淡水リゾートのような昼鵜飼いには、実のところピタリとマッチしたのだった。なにしろ涼しい。しかし身嗜みは大切。アンクルソックスを履きせしめ、同乗した小学生とは一線を画しておかねばならない。

そうして店へ帰ってみたなら、さっそく秋物の品物が到着していた。こうなると晩夏の半パンツでは立場がない。秋色に染められたシャツなど見ていたら、そろそろ真夏の着こなしは納め時と思えてくる昼下がりだった。

さて、八月いっぱいで鮎の禁漁となるので、鵜飼いもお終い。晦日には「鵜飼い感謝デー」と称した謝恩価格で遊覧を楽しめるイベントがあるという。暮れゆく夏を惜しみつつ、川面に浮かんで杯を傾ける夕べも一興。秋一番の服でも新調して乗ってみるかねえ。

絵と文・ふじたのぶお
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by foujitas | 2009-08-28 12:44 | 洒落日記  

シャツイン

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「おとうさん、今はシャツインよ」近所へ買い物に出かけようとした父を、年頃の次女が咎めたそうだ。いつの時代も父親と娘の役どころは変わらぬもので、目まぐるしい流行を敏感に追いかける女子と、自分なりに流行を意識しているつもりの親父には、どうやら言い知れぬギャップがあるらしい。

シャツの裾をパンツの外へ出すか入れるかの論争は、いまもって決着をみていない。シャツの裾はパンツから出ないようにするため、前身と後身が長く仕立ててあるもの。よって本来は中へ入れて着用することが正しい。が、ラフな着こなしで過ごすリゾートでは、むしろ裾を出して開放的に着ることが格好良いとされ、やがてタウンカジュアルとして認められたのである。

混乱を引き起こしているのは、メイカーにも責任の一端がある。シャツジャケットと称する、形はシャツだが用途は外套。つまり一番上に羽織るための衣服として作っているにもかかわらず、その形状はシャツのままというアイテム。当然、洋服屋は「裾は出して着てください」と話すから、専門家でもないお父さんは、もう何が正しいのかより所を失うのであるねえ。

娘のいうシャツインには一理ある。しかしながら「今は」と限るのは残念ながら浅はか。着るべくして着れば、なあに小娘ごときに指図される懸念はありませぬぞ、お父さん。

絵と文・ふじたのぶお
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by foujitas | 2009-08-14 12:43 | 洒落日記  

同窓会

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盆と正月。なかんずく休暇が長い夏の半ばには、各所で同窓会が催される。学年や学校単位の大がかりな会があれば、何とはなく学友が集って旧知を温める席もあり、巷では「おお、久しぶりじゃのう」と宴が盛り上がる。これが中年世代の同窓会になると感動もひとしお。男はみな、頭髪や腹周りを気にしながら、しかし杯を傾けては饒舌に過ごすのだった。

いつもの暮らしの中に居合わせない人と時間を共有する同窓会では、やはり着ていく衣服、その日の出で立ちが気になるもの。女性は慣れた手つきで程々の化粧をし、軽やかに着こなした洋服で参集するが、はたと困るのが中年男性である。普段着では忍びなく、さりとて一張羅というのも気恥ずかしい。さらには床屋へ行っておくべきではなかった、など日頃は頓着しない事柄まで気になって仕方がなく、内心は青春時代のようにソワソワと落ち着かないのだねえ。

男子諸兄。同窓会の奥義とは、まずもって「バリッ」と着こなすべし。くたびれた普段着で座ってしまっては、せっかく同席したあの娘の百年の恋も冷めるというもの。とりわけ穴の広がったベルトや、色褪せたソックスなどにはご用心召されよ。ン十年ぶりの彼女も、間違いなく青春の瞳をもって隣りへ座っているはずなのだから。

実をいうと明日はその同窓会にて、いまさら自戒する洋服屋なのだった。呵々。

絵と文・ふじたのぶお
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by foujitas | 2009-08-07 12:42 | 洒落日記