クリスマスを演じる男たち
師走になった。忙しく過ごした一年が暮れようとする月に、ある男たちは、いつもよりもっと洒落ようと考えるのである。暖冬とはいえ今年もクリスマスがやってくるのだ。
女性の装いのように豊かな彩りが望めない男の着こなしは、一年を通して、おおよそ紺やグレイという濃い色合いが多く、そんなスーツ姿を「ネズミのようだ」と揶揄されることさえある。実はネズミの中にも個性的な細工がなされ、男たちのアイデンティティが物語られているのだけれども、惜しむらくは、さほどメッセージが伝わらないらしい。
しかし世の奥方様よ、ダンナの着こなしをじっくりご覧あれ。パーティや忘年会がラッシュとなる今月、彼らはひと味ちがう。ダークスーツはそのままでも、赤いストライプのシャツや、華のある色柄のタイを着用し、もしかするとクリスマスをモチーフにしたラペルピンをポケットに忍ばせる粋な男たちの姿が、きっとどこかにある。
なに、うちのダンナはセンスが無い。なれば内助の功、そっと揃えてあげなされ。「こんな照れ臭いもん、使えんわ」などと言いながらも、まんざらでもなく身につけるにちがいない。着こなし楽しむユーモアとセンスは、洒落オヤジのとっておきのクリスマスなのだよ。
絵と文・ふじたのぶお
by foujitas | 2006-12-02 18:24 | 洒落日記