赤色

あまねく色の中で「赤」は現代社会にあって、赤信号など人に注意を促す色として用いられたりする。古くは諺「亭主の好きな赤烏帽子」にも見られるとおり、やはり珍妙な色、あるいは奇異で目立つ色の代表格だったようである。
これがファッション界に目を向けると、その強い性格から情熱を表す躍動的な色に例えられ、色彩バランスを考える上でも重要な役割を担う色とされる。
たとえば替え上着の代名詞のように言われる「ブレザー」の語源。その昔、オックスフォード大学とケンブリッジ大学が競うレガッタ競技のユニフォームに、彼らが真紅のフランネルジャケットを揃えた。それはテームズ河へ華やかに映り、観る者は「おお、燃えるようだ」と絶賛した。「オー、ブレイズ!」後に赤いジャケットはブレザーと呼ばれるようになったという。
古今東西、いろいろな意味で一目置かれる「赤」は、それでは今どのように着こなせば良いのだろうか。
TPOを考えるなら、職場にあってあまり派手な使い方は避けねばならない。しかし男の服飾でも多彩な色が許されるネックウェアなら、ときにインパクトがあって良い。休日を遊ぶなら話しは別。かのジェームス・ディーンのような、デニムのパンツと真っ赤なジャンパーなら年齢不問というものだ。山粧う秋、モミジの紅が待ち遠しいねえ。
絵と文・ふじたのぶお
by foujitas | 2007-10-05 17:23 | 洒落日記