忘年会の風景
指折り数えたら新年が明ける年の瀬。クリスマスプレゼントを探しに来られるお客様が途切れた夕暮れには、アーケードを通って歓楽街へ歩く大勢の人の姿が見える。楽しげな笑顔で年忘れの宴に向かう人々の着こなしは、オジサンとしては悔しいが、実のところ女性軍に軍配が上がる。
ご婦人方はみな、ウールやダウンのコートに身を包み、暖かそうなマフラーやストールを首に巻き、手袋を着けてさっそうと歩く。ヘアスタイルに気遣い、化粧をした姿は、たしかに身だしなみが整えられているのだ。では殿方はいかがか。セーターにジャンパー、チノパンかジーンズ。それらは、おおよそいつもの休日スタイルであり、特別に趣向を凝らせた様子は少ない。
こうした男女が一つのテーブルに就くと、ちょっとアンバランスで滑稽な風景になる。無礼講と言ってしまえば何でもないのだけれども、それが社交性の裁量というものだ。
日頃、あまり夜の街へ出かける機会が無いご婦人は、やはり特別な日と心得て洋服を考える。一方、何某に託けた酒飲み会へ再々出かける殿方は、ほとんど慣れっこ。肩の凝る洋服は面倒臭いのである。
しかし、いつもよりも洒落た出で立ちで飲む酒は、もしかするといつもより美味しいかも知れないねえ。忘年会、新年会はまだ続く。
絵・文 ふじたのぶお
by foujitas | 2007-12-21 21:36 | 洒落日記