真夏のコットン
「夏はこんなにも暑かったか」と訝しく記憶をたどるこのごろ。梅雨明けの知らせを聞いた矢先の都市部における猛暑は、やはり土の大地の欠乏と、冷房など人為的な排気熱に遠因がありそうな気がしてならない。地球温暖化というキーワードが奇妙に思い出される昨今である。
必要は発明の母。繊維業界では暑さをしのぐために様々な素材が開発されていて、なかんずく運動選手に向けた発汗機能の研究は日進月歩。激しい運動によって汗をかいても、たちまち乾いてしまう快適な布が数多くある。説明書きによると、糸を成す繊維にミクロ単位の細工が施してあるなど、もはやそれは肉眼の領域を超えているという。
ファッションアパレル業界では、これらを機能素材と呼び、タウンウェアに流用する傾向が多くみられる。一見すると普通のポロシャツが実は最新のポリエステル繊維だったりするわけだ。しかし悲しいかな、運動をして噴出する汗と、街を歩いて汗をかくのは少し感覚が異なり、必ずしも有能な機能を果たせないのが現実。結局はコットンやリネン(麻の一種)など昔ながらの天然素材が人気を博しているのだねえ。
子どもたちは夏休みを目前にし、夏の風物ともいえる夜市も駅前や各地で開催されている。いよいよ夏も本格化。柔軟剤もなく洗いざらした綿の着心地は、幼いころ、友だちと遊んだ真夏の日記の一頁に綴ってあった。
絵と文・ふじたのぶお
by foujitas | 2008-07-18 18:26 | 洒落日記