パンツの合わせ方
男子がパンツ型の衣服を着るようになって久しい。しかし元は着物を身につけていた過去があるせいか、そのパンツを充分に着こなしている御仁は意外に少ない。これは洋服店の売り方にも一因があるのではないか。
多くの男はパンツを選ぶとき、まず着丈を気遣う。つまり裾上げをした後、足の甲へ被さる裾の長さだ。特殊な流行は別にして、甲には「ワンブレイク」と呼ばれる僅かなたるみが佇まいを優雅に見せるもの。そして次に裾や腿の幅。太すぎず、細すぎず、適度な寸法を良しとするならば、今時なら裾幅二十二、三センチ、膝幅二十六センチ前後が妥当だろう。
そしてデザイン。腰のタックや裾の折り返しの有無。果てはベルトやポケットの形など、パンツにはいくつかの代表的な意匠がある。ここまでは、ちょっと詳しい販売員に尋ねると応えてくれよう。
問題は股上。既製服の場合は修正が困難だから話題にしないのか、誤って着用すると、やけに貧しい見え方になってしまうもの。股上が深いパンツはクラシカルに見えるので、近年では好まれている。ところがジーンズのような安易な着方で腰骨へベルト位置を合わせると、股下に余分な空間が生じる。残念なことに、これでは短足な体型に見えてしまうのだねえ。既製品パンツは股上に気遣って着るが良し。
絵と文・ふじたのぶお
by foujitas | 2009-09-11 18:35 | 洒落日記