メガネの装い
中学生以来ずっと使っているメガネは、かつてクラシックカーレースを嗜んでいた頃、一度だけコンタクトレンズに変えようと試みたことがあったが、深夜の国道でオープンカーを運転していた最中、抜き去ったトラックの粉じんが目に入り、言い得ぬ恐怖体験をした。それであっさり諦めてメガネは今に至っている。恒常的にメガネを使用している人の顔は、それが素顔とセットになって記憶されているせいか「メガネ顔」という。
思えばこれまで買い揃えたメガネは数知れず、様々な色や形の物を使ってきた。メガネという代物は、実用性とファッション性を兼ね備えた重要なアイテム。長らく付き合うだけに、何でも良いというワケにはいかない。
クラシカルなべっ甲風のボストングラスや、アメリカ懐古調のウェリントングラスを始め、昨今では著名な工業デザイナーの作品までが製品化され、その選択肢は限りなく増えた。一部ではキャラクターを創り上げるために、視力調節を必要としない人までがメガネを着用していて、これをファッショングラスと分類しているという。
顔の中でも、相手に強く印象づける目元の様子を変化させるメガネだ。顔の輪郭だけでなく、社会的立場やTPOに配慮した正しいメガネ選びは男の必須科目。スーツと同じく、充分な吟味のもとに選びたいものだねえ。
尤も昨今では近視に加えた老眼が始まり、その選択肢は乏しく、結局は跳ね上げ型のシンプルなメガネが盟友となってしまったが。
絵と文・ふじたのぶお
by foujitas | 2010-02-26 17:23 | 洒落日記