総理大臣の不覚
消臭効果を持つ繊維が特許を取得する時代であり、たしかに社会生活においてエチケットは大切なことに違いない。しかし昨今の消臭剤の広告を見ていると、「加齢臭」を題材におもしろ可笑しく主婦層へアピールしているつもりなのか、ずいぶんとオジサンは残酷な言われ方をしたものだ、と俄に憤りを覚えてしまうのである。
閑話休題。いつの頃からか総理大臣のぶらさがり記者という方々が毎日、官邸で取材をするようになった。各局の新聞やテレビの記者が向けるカメラの前に立つ内閣の面々は、みな礼儀正しくダークスーツを装い、毅然とした態度で会見に臨む姿は、もはや日常的な風景ではないだろうか。わずかなホンネを聞き出そうとする記者陣営と、志を貫こうとする政治家の攻防は見応えがある。
国会討論やお膳立てをした記者会見と違い、ぶらさがり会見にはレジュメが無いらしく、先の会見で内閣総理大臣は奥様の選んだというゴールドのタイを結び、強いフラッシュを浴びていた。しかしながらスタイリストも不在であるためか、ダークスーツの肩には白い粉が付着していたのであるねえ。残念無念。
政治家のみならず、人を代表する立場にある人物は常に衆目を集めるもの。一瞬の不覚が品位を落とす。友愛精神を重んじるなら、まず加齢によって衰えるからだを心得て、身嗜みを整えるが礼儀。
絵と文・ふじたのぶお
by foujitas | 2010-03-12 17:24 | 洒落日記