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シャツのスソをどうするか

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駅前の店にあって外を見ていると、綿シャツを着たオジサンの5人に1人がパンツの外へスソ出して歩いている。正確な統計ではないが、目立つことに変わりない。

ラウンド状に仕立てられたシャツのスソが、パンツの中へ入れて着るべきであることは、いまさら説くまでもない。しつけが厳しかった時代なら、だらしない姿として叱られたものだけれど、いつのまにか誰もが遠慮しなくなったのである。はたして、それは正しいのだろうか。

スソ出しルックは、アメリカ西海岸など開放的なリゾートで好まれた着こなしであり、責任能力をもたない未成年たちが、大学キャンパス内で気楽に過ごして広まった。都市環境の中で着るには、他人に対して失礼な振る舞いと心得るべきことだ。

どうしても外へ出して涼しく着たいなら、スソをまっすぐに仕立てたスポーツシャツがある。開放感も良いけれど、自由のはき違えで、自身の評価を下げてしまっては台無しではないか。

洒落オヤジは不用意にスソを出すべからず。岩国の街であってもマナーやドレスコードは世界共通なのだから。

絵と分・ふじたのぶお

# by foujitas | 2006-08-19 17:57 | 洒落日記

 

休日のモチベーション

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暮らしや教育に「ゆとり」が叫ばれ、社会人の休日は着実に増したが、充実した一日を過ごせる人々は多くないという。

リラックス気分で安息を求めるダンナ様は、つい気楽な装いで家でゴロゴロしていると、朝から掃除機のホースに追い回され、渋々と散歩にでかける。すると「そんな格好でどこへ行く」と咎められて、まるで気が休まらないオヤジなのである。

お盆の連休になれば家族でクルマに乗り込み、古里へお墓参りもあることだろう。これは休日の名誉挽回をする絶好のチャンスなのだ。

色褪せたTシャツとヨレヨレのショートパンツはヤメにして、日頃のクールビズで培ったセンスを活かすキレイ系の着こなしが良い。リネン(麻)のシンプルで涼しげなシャツと、やわらかいタッチのパンツ。ハンカチを忘れずに持ち歩き、家族を率先して休日を楽しむのである。

積極的に休日を過ごすモチベーションがあれば、疲れ果ててファミレスに駆け込むより早く、気の利いたイタメシ屋へ足が向くにちがいない。

絵と分・ふじたのぶお

# by foujitas | 2006-08-12 17:52 | 洒落日記

 

おやじが苦手な美脚パンツ

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ちかごろ洋服屋の広告に「美脚」や「足長」とあるのを目にするようになった。多くの場合これらのパンツには、従来の仕立てにくらべて股上を深くし、尻ポケットをわずかに高い位置へつけることで、腰下を長く見せる特徴がある。

設計されたボディと同じように着用すれば、幅も細身で、たしかにスマートに見える。

しかし腹周りが立派になったオヤジ世代には、いまいちウケがよろしくない。なぜなら彼らは、パンツのウェスト位置を腹より下げて着る習慣があるので、結果的に股間がダブつき、足が短く見えてしまうのだ。美脚どころではない。

特別なデザインでなくても、格好良く見せるパンツはある。プレーンフロントと呼ぶノータックパンツは、適正なウェストとヒップで仕立てたら、すっきりとして美しい。裾に折り返しを付ければ、やや軽快な着こなしが楽しめる。かつてオヤジたち好んだアイビー・スタイルのツボは、永久不滅なのである。

いつのまにかゆったりサイズに慣れてしまった今日、ちょっと気分を引き締め、オヤジ流儀で「美脚」を着こなしてはいかがだろうか。

絵と分・ふじたのぶお

# by foujitas | 2006-08-05 17:49 | 洒落日記

 

セブンインチ・ドロップ

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ニューヨークのヤングエグゼクティブは「セブンインチ・ドロップ」を目指し、誇りにしているという。

「七インチ下がり」と和訳する言葉は、すなわち胸囲とウェストの寸法差を指すもので約十八センチとなる。百七十五センチ男性の平均的な胸回りは、おおよそ百センチだから、目指すウェストは八十二センチだ。日本の中年男性に限れば、これはかなりスタイリッシュな体型で、決して多くない。

仕事ができる男の象徴として捉える「七インチ下がり」は、単に格好が良いという理由だけではなく、もう一つのメッセージが隠されている。自身の身体の管理まできちんと成しているという自負心である。

今年四月に八つの学会から、共同して「メタボリック症候群」の基準値が公表された。ウェスト寸法が、女性で九十センチ、男性なら八十五センチを目安に、上回ると生活習慣病を発症しやすくなるという。現代人にとって「セブンインチ・ドロップ」は、健康のキーワードでもあるらしい。

絵・文 ふじたのぶお

# by foujitas | 2006-07-29 16:44 | 洒落日記

 

マドラスチェックはどこへ

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夏になると必ず着ていた心地の良い木綿の生地。洗うたびに色が褪せ、年期が入ったシャツほど玄人に好まれた。英国の支配下にあったインドの南部マドラス(現チェンナイ)に発祥したことからマドラスチェックと呼ばれ、五十年代に東部アメリカのアイビーリーガーによって広められた後、日本へ渡ってきた生地だ。

元をただせば手紡ぎと手織りによって作られていた木綿ゆえに、糸も不揃いで染めムラがあり、服地としては決して上等なモノではなかった。色褪せをして「マドラスが泣く」と言って味わったイキな価値観も、いまでは画一的に粗悪な品質とされ、いつしか失われてしまった。

しかし、蒸し暑い日本の夏には格好の生地であり、何よりも夏男が堂々と着られる数少ない派手なシャツだった。無造作に着るマドラスのボタンダウンシャツこそ、中年オヤジの青春の象徴ではなかったか。

ビートルズが来日四十周年を迎え、団塊世代のノスタルジーが旬を迎えた。そんな今日だからこそ、ビーチボーイズなど聴きながら、もう一度あの夏を感じたいと思うのだった。

絵・文 ふじたのぶお

# by foujitas | 2006-07-22 16:42 | 洒落日記