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洒落者のキモは自信

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とある居酒屋で肴を楽しんでいたとき、なぜか隣り合わせたお客と意気投合。中年賛歌で、おおいに愉快なひとときを過ごしたのである。

五十年配というその方々は、一様に「いまは腹が出たからのう」と謙遜気味だったけれど、車座になって酌をする佇まいは洒落者。堂々としていて気持ちよい。

若い頃は、として始まる話しは実に興味深い。ネイビーブレザーを着てスポーツカーを乗り回し、ヘアスタイルに気遣い、「平凡パンチ」や「メンクラ」と呼んだファッション雑誌を見入って、駅前のメンズショップへ通ったという。

どんな洋服を装っても、こんな人たちは格好良い。いろいろな経験が自信の裏付けとなっているにちがいない。

職業柄、店先やメディアにあって、洋服の着こなしについて尋ねられる事が少なくなく、「似合うか、否か」と問われる。立場上、色合わせや素材の話しをするのだが、洒落者に共通するキモは、いかに自信をもって何気なく振るまえるか、ということに尽きるんだよなあ。

絵・文 ふじたのぶお

# by foujitas | 2006-07-15 16:41 | 洒落日記  

ジミハデ好み

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私事で恐縮なのだけれど、つい先日四十三歳になった。気は若いが、オジサンというか中年世代を邁進(まいしん)しているにちがいない。振り返れば、日々の暮らしの中で装う地味や派手は、年を追うごとに少しずつ変化していて、それは流行だったり好みだったり、いろいろな理由によることだ。

世代と装いの関係は、若者こそハツラツと派手に、老いればそれなりに地味な装いへ変化するものと相場は決まっていたが、近年では明らかに傾向が逆転している。

しかし、いくら中年世代が派手にするといっても、節度のない着こなしでは目立つばかりで大人の嗜みにならない。そこで「ジミハデ服」がキーワードになるのである。

上品な色合い、上質な素材、保守的なデザイン。サイケデリックで不快感を覚えるモノはよろしくない。一見すると無地のようでも、よく目を凝らせば柄がある。明るい色の組み合わせでも、全体の雰囲気を締めくくるポイントカラーを着こなす。

オジサン世代のファッションは「ジミハデ」を駆使して、子供よりも一枚上手をいくのである。

絵・文 ふじたのぶお

# by foujitas | 2006-07-08 13:42 | 洒落日記  

洒落おやじはピンク色を着る

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景気のよしあしは、世相となって流行色に反映する。バブル経済にわいた世間では、紫色のスーツがあったけれども、その後には地味なアースカラーに一変。ベージュや黒ばかりが店々のショーウィンドウを埋め尽くした。

ところが近年になって、久しくメンズファッション業界にきれいな色が戻ってきた。パステルカラーと呼ぶクリーム色や水色、オレンジ系やラベンダー系の色も美しい。

しかし明るい色を呼び戻したのは、かならずしも若者ではなかった。人生目標を探してさまよう彼らの気分は、はやりまだ地味な黒やグレーであり、ビミョーな景気回復の兆候を敏感に察知して、さっそく日々の着こなしに採り入れたのは、むしろ中年から団塊世代の大人たちだった。

淡いピンク色のボタンダウンシャツを着て、ダークグレーのスーツで装うおやじ世代は、若いころから靴を磨いて履くことを知っていた。若者と競うのではない。いつの時代でも、リーダー役として生きるための洒落感覚を兼ねそなえた、いまもバリバリの現役なのである。おやじ、万歳。

絵・文 ふじたのぶお

# by foujitas | 2006-07-01 09:28 | 洒落日記  

意識して着こなすこと

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いつも着ているボタンダウンのシャツは、着心地もよく、肌着のように特別な感動もなく着用している。しかし襟の形が異なるシャツを着ると、それだけで何かヨソイキの感覚を得て、歩いているときでさえ、背筋が伸びているように思える。

慣れというのは因果なものだ。たとえば制服でも、長く同じ洋服を着ていると板に付く一方、少々のホコロビやシワなんて気に留めなくなってしまうのである。たとえ新調した洋服でも、見知っているものなら緊張は少ない。

とある結婚式に出席した。若い新郎新婦はいうにおよばず、パーティに同席した若者たちが格好良かった。普段はチノパンやジーンズで過ごしている彼、彼女たちも、スーツやドレス、着物を装い、小さな所作まで気配りを忘れない。あきらかに緊張した面もちで宴に興じていた。

そうか、大切なのは「何を着るか」ではなく「何をどう着るか」なのだ。着こなすことを意識すれば、いつもの洗い晒したシャツでも、きっと素敵に映えるにちがいない。

絵・文 ふじたのぶお

# by foujitas | 2006-06-24 01:28 | 洒落日記  

クールビズなダンナ様

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テレビや雑誌でもいろいろなスタイルが紹介され、すっかり定着した二年めのクールビズ。「チョイ不良おやじ」が流行して、現代のメンズファッションは若者よりも、むしろ格好良いオヤジを志向している。

独身時代、アイビーファッションでセンスを磨いたオヤジたちは、それから家族や子育てにエネルギーを費やし、社会に貢献して過ごした。そんなダンナ様が今またスポットライトを浴びる時代がやって来たのである。

コーディネイトのコツは、決して若ぶらないこと。お子サマとファッションを競うのではなく、大人にしかできない着こなしテクニックで勝負する。ちょっとこだわったボタンダウンシャツや、やや細身のパンツ、きちんと手入れされたローファー・シューズなど、どれも若い頃に着ていたアイテムがそれだ。

休日はもちろん、仕事の場でも好感度の高いオヤジでありたいもの。少しくらいお腹が出ていても、身嗜みや洋服に気遣った経験があるから、きちんと着こなしたクールビズなダンナ様は、やはり素敵に見えるのである。

絵・文 ふじたのぶお

# by foujitas | 2006-06-17 01:22 | 洒落日記